“クロスオーバー的な毎日”と言ったら 大げさで古い表現になってしまいますが
次第にどん詰まりの様相になりつつある現状の中で 乗り越えていかねばと奮闘中です。
あれもこれもしなければならない。
夜になると 日中作業しながら考えていたデザインイメージを図案化。
あの人の分。 この人の分。
ここで手を抜いてしまうと 何となく同じようなデザインの制作物になってしまいます。
そうした中で CORNER CUPBOARD が 完成間近となってきました。
限りなくアンティーク・スタイルに近づくように・・と 用材には アメリカ合衆国建国当時の
建築物の構造材として使われていた サザンイエローパインの古材を用いています。
カンナから出てくるのは粉塵状で それだけ木としての感覚では扱えません。
長い年月の間に組織が変化してしまっています。 したがって 加工が大変です。
鋭角になった変形の創りは 何から組立て始めるのか悩むところです。
工程のプロセスをしっかり把握して進めなければなりません。
今回最大の難関。 本体両サイドに溝の掘り込みを施します。 少しのミスも許されません。
心身ともに万全の状態で 息を止めての作業になります。
棚板制作。 重さや湿気で 湾曲しないよう 両サイドは交差させるような構造。
接着するだけでなく クサビを打ち込み強度を付けます。
棚受けの構造は パリのアンティークショップに展示してあった家具がヒントになっています。
20数年を経て そのデザイン・構造も随分進化しました。 最初のころはマネされないように
オープンにすることはありませんでした。 シンプルな創りですが 工程は簡単ではありません。
無機質な金属のダボを使うのが一般的ですが ここでは棚受けも ひとつのデザインとして
役割を果たしています。
下部の扉
上部の扉には 歪みガラスを入れます。 全体に重さが加わるので 緻密に創ります。
H型ヒンジはイギリス製で アメリカの鉄製と違い 真鍮製で重量感もあり高品質です。
サイズも5種類あり創るものに合わせて適切に選べます。
鍵を 取っ手として開閉に使います。
真鍮の表面は薬品処理で 古っぽく見せています。
最初に描いたデザイン画をもとに 自由な発想のもとに創り上げています。
根拠となる細かな寸法が存在していないので 同じ物を2度と作れない訳です。
一旦 金具類を外し オイル塗布 アンティークワックスを塗り込み 仕上げになります。